新しい生地を開発するための試作品を作る仕事をしています。織機を稼働させて開発者の設計書どおりに試織(ししょく)し、織物を作り出します。開発者の狙い通りの生地を作るのはもちろん、生産技術課の役割として大切なのが生産性の向上です。省力化や効率化、品質の向上や安定など、クオリティ面、コスト面をトータルで考えることが必要となります。既存の織機で対応できない場合は改造を行うこともあります。量産できなかったものを量産する方法や、今まで織れなかったものを織る方法を見つけることをテーマに知識と経験を積んでいます。
子どものころから手を動かす作業が好きだったので、機械関係の仕事ができるだけで嬉しいです。工程自体が楽しいんですよ。織機が動いている姿はまるで命がある生き物のようで面白いですし、経糸から布になる瞬間は何回見ても楽しいです。織物の性質上、経糸の張力が自動で揃っていくのがおもしろいんです。出来たモノに対して設計者に「さすが!」と言ってもらえるのはもちろん、織機がうまく動かない時に仮説を立てて調整し、動いた瞬間が1番嬉しいです。今後は上司のアドバイスがなくても自分で何でもできるようになりたいです。
地元で就職したい意向を相談したところ、就活の担当の先生が丸井織物の社員と知り合いで「能登ならこんな会社があるけど」と紹介されて工場見学をしました。最初は繊維会社にどんな機械があるのかよくわからずに見学に来たんです。いざ見学してみると織機がものすごいスピードで動いていて、緯糸を飛ばして布が作られている。その正確性や緻密さに感動し、これを使う側になりたいと思いました。これがどういう風に動いているのかをわかるようになったら楽しいと。
地元で就職したいという気持ちがありました。大学時代は金沢市で一人暮らしだったのですが、就活中に3.11の東日本大震災の様子を見て生まれ育った場所で就職する意志を固めました。入社してみるとみな方言で話してくれて、やっぱり私のホームは金沢じゃなくて能登だなと(笑)。仕事の目標がハッキリしたことや研修のおかげで、大学時代の友達から「明るくなった」と言われるほど成長感を得られる環境です。